研究ハイライト

脈動オーロラの高さの統計研究2015.6.21

脈動オーロラの方がONの時とOFFの時との高度の違い。 それぞれON/OFFの時のみの電子密度データを重ね合わせて平均している。

脈動オーロラ発生時の電子密度の大きさと電子密度がピークとなる高度との関係。 電子密度のピーク高度が低いほど、電子密度の大きさが大きくなることが分かる。

2008年から2012年にかけてのEISCATレーダーと全天光学機器との同時観測データを用いて
脈動オーロラの統計研究を行いました。
その結果、(1)全般的に100km以下の高度でよく起こること、
(2)真夜中側に比べ、明け方の時間帯の脈動オーロラの方が低高度でよく起きること、
(3)地磁気活動が活発であると、低高度でよく起きること、
などを明らかにしました。

Hosokawa, K. and Y. Ogawa,
Ionospheric variation during pulsating aurora,
J. Geophys. Res., doi:10.1002/2015JA021401, in press, 2015.

カテゴリ:オーロラ


オーロラサブストーム開始前後の電離圏変動2014.6.23

統計解析で求められた(a) 電子密度、(b) 電子温度、(c) イオン温度の高度プロファイル。EISCAT上空をオーロラアークが通過する時刻を t = 0 とし、相対時刻を色で分類して表示している(黒:-60 < dt < -30 min, 青:-30 < dt < 0 min、赤:0 < dt < +30 min、緑:+30 < dt < +60 min)。下記説明文にある特徴をはっきりと確認することができる。

オーロラサブストームに対する極域電離圏の応答は様々な観点から研究されてきた。これまでの研究活動によって、例えば、極方向に急激に移動するオーロラアーク近傍に発達する電流系、高エネルギー電子の降込みによる電離圏密度の増加、ジュール加熱によるイオン温度の増加などの理解が進んだ。しかしこれらの現象の高度依存性は分かっていない。そこでEISCAT UHFレーダーを用いた統計解析を行い、電子密度、イオン温度、電子温度の変動の高度依存性を調べた。オーロラサブストームに伴い極方向に移動するアークがEISCATレーダー上空を通過する直前にイオン温度が電離圏全高度域において上昇する。これはペダーセン電流によるジュール加熱の発達を意味する。アーク通過後、ディフューズオーロラが発達し、E領域電子密度はこの時間帯に最大となり、高度150-200 km付近の電子密度は徐々に減少していく。一方、F領域の電子密度は高いレベルを長時間維持する。ポーラーパッチの影響も一部にみられるが、100eVクラスの粒子降込みが主な原因であることが分かった。

Oyama, S., Y. Miyoshi, K. Shiokawa, J. Kurihara, T. T. Tsuda, and B. J. Watkins, Height-dependent ionospheric variations in the vicinity of nightside poleward expanding aurora after substorm onset, J. Geophys. Res. Space Physics, 119, doi:10.1002/2013JA019704, May 5, 2014.

カテゴリ:オーロラ,磁気圏電離圏結合,電流


光学観測データを用いた電離圏電気伝導度の推定手法の開発2014.6.23

EISCATレーダーの観測値から電気伝導度を導出し、F領域(パネルa)、上部E領域(パネルb)、下部E領域(パネルc)に分類する。それぞれを縦軸に取り、フォトメータで測定したオーロラ光強度を横軸に取った分布図を示す。オーロラ光は波長によって発光高度が異なるので、各高度領域の代表波長として、F領域には 630.0 nm(パネルa)、上部E領域には557.7 nm(パネルb)、下部E領域には427.8nm(パネルc)の測定値を用いた。灰色の直線と曲線は本研究で求められた関係式であり、観測結果をよく代表していることが分かる。

EISCATレーダートロムソ観測所にあるフォトメータは代表的なオーロラ波長である427.8 nm, 557.7 nm, 630.0 nmの光強度を測定している。オーロラを発生させる高エネルギー電子は熱圏粒子を励起・発光させるだけでなく同時に電離も引き起こすため、オーロラの発生と共に電離圏電子密度が増加し、その結果、電離圏電気伝導度も増加する。電気伝導度は磁気圏-電離圏-熱圏結合を電磁気学的に理解する上で非常に重要な物理量であり、高度によってその特徴が異なる。オーロラ光強度と電気伝導度に相関があることは古くから知られており、光学観測データのみから推定する手法開発研究の結果、高度積分した全電気伝導度とオーロラ光強度との関係が定式化された。しかし高度に依存した関係式は求められていない。そこで、オーロラ波長によって発光する高度が異なるという特徴を活かし、さらにEISCATレーダーとフォトメータが同じ方向(磁力線方向)を同時に測定しているイベントを解析することで、高度に依存した関係式を求めることに成功した。

Oyama, S., T. Watanabe, R. Fujii, S. Nozawa, and T. T. Tsuda, Estimation of the layered ionospheric conductance using data from a multi-wavelength photometer at the European Incoherent Scatter (EISCAT) radar site, Antarctic Record, 57(3), 339-356, December, 2013.

カテゴリ:オーロラ,電流


オーロラサブストームと極域電離圏イオン上昇流の関係2014.6.21

2001年9月25日に発生したオーロラサブストームの画像

EISCATレーダーで観測された上向きイオンフラックス(上)とイオン上昇速度(下)

概要:

・複数のEISCATレーダーデータとIMAGE衛星のオーロラ画像データを組み合わせて、オーロラサブストームと極域電離圏イオン上昇流の関係を明らかにした。

・サブストームオンセットから約6分後に電離圏イオン上昇流が発生し、ポールワードエクスパンジョン時に上向き速度とフラックスが最大になることが明らかになった。

・この電離圏イオン上昇流に関連して、磁気圏では約40分後に高速酸素原子が観測された。この時間差から電離圏でのイオン加熱・加速は18-27電子ボルトと見積もられた。

・サブストームのリカバリーフェーズでも、広範囲に低エネルギー粒子の降り込みがあり、イオン上昇流が頻繁に起きていることを明らかにした。

Ogawa, Y., M. Sawatsubashi, S. C. Buchert, K. Hosokawa, S. Taguchi, S. Nozawa, S. Oyama, T. T. Tsuda, and R. Fujii,
Relationship between auroral substorm and ion upflow in the nightside polar ionosphere,
J. Geophys. Res. Space Physics, 118, doi:10.1002/2013JA018965, 2013.

カテゴリ:オーロラ,磁気圏電離圏結合


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